棘を抜く

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3人でゲームを作る話で使われているのは、良くある洗脳の手法

 
あらすじとしては、イラストレーターが欲しいゲーム開発サークルが美大生を雇うのですが、彼女が提出したイラストに対して「普通」などと評価をして、彼女を奮い立たせることで望むべきイラストを再提出させるという内容ですが、お気づきの人はもう分かると思います。
これ、よくある洗脳の手法です。
「洗脳?」と、興味を持った方は、以前このような内容を話しましたので、一連の投稿を確認していただければと思います。
今回はこの中から具体的に説明していこうと思います。
twitter.com/utakuochi/stat…
まず、最大のポイントが、この対象となる美大生がエリート中のエリートで負けず嫌いという設定です。
洗脳の対象は幅広いのですが、特に偏差値の高いところの大学生などを狙って起こってきたのが前述の「大学生を狙ったカルト団体」で、自信家ほど自分が洗脳されていると気づきにくいです。
また、洗脳の手法でスタンダードな「周囲からの切り離し」を平然とやっています。
作業場として与えられている部屋は大の大人2人に対し、大学生の彼女1人いう圧迫的で彼女が少数派と錯覚するような空間になっていますし、大学に戻っても彼女は周囲の意見を受け入れない孤立した存在でした。
そして極めつけが「彼女の仕事結果をとにかく否定してこき下ろす」ところから始めて、最終的に手のひらを返したかのようにべた褒めするところです。
これは最初に出したイラストと、最終的に納品したイラストの中身が分かりませんので、それぞれの評価が妥当であるかという客観性が闇に葬られます。
結果として、この仕事で終わるはずが、美大生の彼女はもう一仕事受けることになりました。
これにて洗脳完了というわけです。

さて、なぜこれを洗脳というかというと、この社長らしきクリエイターが「こいつは安く使おう」って言ってるからです。
この話は、好意的に受け止めれば、自信家であった美大生の彼女が複数人でのゲーム制作を通じて、ゲームを作ること、クオリティを高めるためには各人は何をすればいいかを理解して、最終的に一皮むけた状態で引き続きゲームを作っていこう、というかなりポジティブな内容となっています。
発注者側の彼女が言っていることは正しいです。
美大生の出してきたイラストのクオリティが普通なこと、自分では叩き出せないクオリティがあるから他人に求めていること、自分たちが求めているクオリティがあること、全て正しいです。
確かに、ディレクターとして譲れないこともあるでしょう。
ただ、ディレクターとしてゲームのクオリティを担保することと、パワハラは違います。

これ、コンプライアンスがきちんとした会社だったらパワハラ案件ですよ。
適切な仕事を回さない、適切な指示を出さない、理由もなく叱責する、目の前で別の部下を贔屓する、といったあたりが該当します。
あくまでディレクターの仕事はゲームのクオリティを担保することであって、ゲームを一緒に作る仲間を否定することではないです。

パワハラに耐えた部下は飲み込まれる。
パワハラに耐えられなかった部下は壊れる。
この“洗脳”の話はそういうことです。
この漫画を評価している人は「一皮むけたね」とか「最後で救われたね」とかいう一方で、ゲーム制作の実務経験がある人からは軒並み拒否反応が出ているように感じます。

もちろん、筆者も違和感を感じているからこうやって書いているのですが、最も強いのは、この「洗脳手法」という部分です。
例えばこれが、相手の性格を熟知していて、「この子が成長するために敢えてこのように接してみよう」と育成計画がある人なら分からんでもないですが、こういうことをナチュラルにやってる人がいたら、それはナチュラルに人を洗脳する人なので逃げたほうがいいです。

今回はそういう忠告でした。
@utakuochi @macchiMC72 深く感銘d(^_^o)何かと覚知やら銘記なりました
@utakuochi 美大に危険思想ってこんなのかと思ってたけど、思ってたんと違かった pic.twitter.com/CdiQnflfeY

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