棘を抜く

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FGOで大人気な紫式部。実は死後の事件も結構大変だった

 

 

人生はあはれなり… 紫式部日記

人生はあはれなり… 紫式部日記

 

 

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紫式部さんが書いた「源氏物語」が、「世界最古の長編小説」と言われることもある、少なくとも日本の文学史のみならず、日本の文化の根底の一つとも言われる、まさに「歴史的傑作」なわけですよ。それ故に千年の間にいろいろあったんです。 pic.twitter.com/Xn2NEg3L2B
すでに死後百年の段階で、その存在は伝説化しており、「源氏物語は日本の宝!」「紫式部は神!」と、貴族や上流階級の必須教養のレベルで、有名な「源氏物語絵巻」などが制作されます。ちなみにこの絵巻、国宝です。
初メディア化が国宝! 式部さんパネェ。 pic.twitter.com/BAI2bM3tbs
後世の作家たちも熱烈なファンが多く、式部さんの百年弱くらい後に大活躍する「更級日記」の作者の菅原孝標女など、源氏物語読みたさに神に祈ります。ちなみのこの人、菅原道真の五代孫です。神の孫が祈るレベル! 道真も苦笑いw pic.twitter.com/wQv2pTAFZJ
そんな伝説作家になった式部さんですが、そうなると出てくるのが設定厨と考察厨と陰謀厨です。
ありますよね、人気作品のあの描写やこのシーンに、様々な「含み」があると、深く追求しようとする現象。
ガンダムジブリ作品なんか山ほどいますが、式部さんそれが二十倍です。学問になっちゃうくらい。 pic.twitter.com/H31GCdJF16
「あの巻のあのシーンはアレを意味している」
「あの登場人物のモデルはあの人では」
「あの描写の突然さは、あれを暗喩していた」
など、さらには
紫式部は隠れ蓑で、本当の作者がいる」
ゴーストライター説が出たり、
「式部は最初からおらず、複数の作者がいた」など、
存在を疑われる始末w pic.twitter.com/ioiCdVeKbZ
さらには、「当時の宮廷の秘密を記してしまったがゆえに、消し去られた幻の巻がある!」などと言われるなど、とにかくまぁ、式部さんからしたら「ないから・・・それで全巻だから・・・わたしいるから・・・! 書いたの私だからーー!!」って感じなんですが、これでもまだ死後4百年程度の騒ぎ。 pic.twitter.com/leniQXHuVm
室町時代くらいになると、「源氏物語」を、設定を現代風にしてのリメイクなどが行われるなど、またブームが訪れますが、そうなるとワイてくるのが不謹慎厨。
「恋愛描写がいかがわしい!」と、一転して「わいせつ物」扱いされます。 pic.twitter.com/f4N4UQK5d8
いつの時代も、「後世の価値観で、古典を裁く人」というのはあるもので、時代時代で紫式部さん、「わいせつ物作家」扱いされ、時の権力のやり玉に上げられています。
だがそのたびにまたブームが起こります。
イラストを増して読みやすくした「絵入源氏絵巻」などは、いうなればコミカライズですなw pic.twitter.com/iDkBeNf5zh
さらには、設定をわかりやすくし、読み物的要素を高めた「偐紫田舎源氏」などは、一種のラノベ化とも言えます。これははどの時代でも大人気で、さらには江戸期には歌舞伎の演目にもなります。
式部さんメディアミックス作家です。 pic.twitter.com/Wmu8LkeYUm
ですが式部さん、人気アリすぎて、そのたびに「けしからん」と槍玉に上がり、死後800年たった江戸時代になっても上映中止や出版中止に追い込まれます。
その規制を行った者の中には、徳川吉宗もいます。
暴れん坊将軍に規制された女、それが紫式部pic.twitter.com/cQSG04lutz
式部さんの受難はさらに続きます。
源氏物語」は宮廷文化を描いた物語です。
つまり、皇室が大きく関わります。ってか、主要登場人物がほぼそれです。
昭和の頃、戦前戦中になると、「皇室を侮辱している」と、これまた規制対象になってしまいます。 pic.twitter.com/d9vzQNeRXl
そのため、「源氏物語」自体は、古典名作なので「発禁」とまではなりませんでしたが、二次創作の禁止、元とした舞台上演の中止など、死後900年目でもこの扱いでした。 pic.twitter.com/w5zb8bQV8Y
そんなこんなのあった式部さんです。ちなみに式部さんの死没年は明らかになっていませんが、歴史上最後に名前が出るのが、1019年なんで、まさに千年目ですね。
あの世にいたとしたら、もうこの千年でめぼしい対応されまくった後なんで、「もう好きにしたらええがな」状態なんじゃないかなとw pic.twitter.com/e9ABpELXHY
というか、未来人たちに悪評や讒言されまくり、わいせつ物呼ばわりされた過去を考えれば、「源氏物語」が自由に楽しまれ、自身も人気キャラとして愛されている現代は、式部さんの死後千年の中で、十分「良い」な方なのかも知れませんなぁ・・・ pic.twitter.com/NCUkOxdHro
そうだ、もういっこあった!! 「源氏供養」ってのがありましてね。これがなにかっていうと、「地獄に落ちた式部さんを助けてあげよう!」ってお祭りです。
「ジゴク? ジゴクナンデ!?」って思うかも知れませんが、それが凄い理屈。 pic.twitter.com/Iuwoq6ah96
式部さん、少なくとも「日本最古の長編小説家」なわけです。しかし、昔は「創作」の概念がなかったんです。
つまり「ホントみたいなウソを吐いた」として、仏教思想に基づき、「地獄に落ちた」とされたんですねw
実際、「地獄に堕ちた紫式部」の絵画もあります。 pic.twitter.com/0lKDnhEJla
鎌倉時代の説話集「今物語」の中には、「ほんとにあったような嘘の話を書いたので地獄に落ちてます。読む時は南無阿弥陀仏と唱えてください」と、読者の枕元に現れた・・・なんて話もあります。
式部さん、二次創作どころか本人が勝手に使われる。 pic.twitter.com/r60PR3K286
だがこの「源氏供養」も行き過ぎたのか、
「でも源氏物語はいい話だよな」
「こんないい話を書いた人が悪い人なわけがない!」
と、今度は打って変わって「紫式部は観音様の化身だった!」ブームが起きます。 pic.twitter.com/fNWNoDvfLg
まぁアレデスな・・・・「うっかり歴史に名を残すと恐ろしい」な人ですな・・・ pic.twitter.com/yD3BG1EWvQ
まぁだから改めて思うんですがね、現代において、現代の価値観でアレコレ言われているもの。それが、百年に二百年後、クルッと変わって、現代の正義の糾弾者たちが「愚者」認定をされる可能性もあるわけですよ。
ま、3百年後4百年後にまたクルッと変わるかも知れませんがな。 pic.twitter.com/iXw68sZ9fp
もしかして現代のアレやコレな光景。
雲の上の紫式部さんからしたら、「またやってる」と呆れられるようなものなのかも、しれませんね。 pic.twitter.com/Rw666wLoxV

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